滝尻王子~大坂本王子【熊野古道中辺路】

滝尻王子からは、いよいよ熊野三山の神域に入ります。
滝尻王子からはいきなりの急坂となり、最高地点の上多和茶屋跡とは約600mの標高差があります。ただし高原熊野神社まで上がったあとは適度なアップダウンを繰り返す尾根付近の道となり、大坂本王子付近まで車道から離れることから熊野古道ならではの雰囲気が楽しめます。

滝尻王子から高原熊野神社への厳しい上りの途中には、藤原秀衡ゆかりの「乳岩」や「胎内くぐり」の伝説の残る奇石があり、熊野古道中で最古の社殿が残る「高原熊野神社」へ。高原からは熊野古道ならではの雰囲気を楽しみながら王子跡をたどり、大坂本王子を過ぎると道の駅「熊野古道中辺路」に到着します。
道の駅からは「牛馬童子像」を経て近露の里へと向かいます。

コースのみどころ

滝尻王子(たきじりおうじ)

熊野九十九王子のうち、最も重要視された社格の高い五体王子の一つにあたります。
後鳥羽上皇の一行もこの社前で御歌会を催されたと伝えられ、杉木立に囲まれた小さな社殿に往時の姿が偲ばれます。
裏手の剣の山には「胎内くぐり」や「乳岩」など伝説の残る奇石があり、聖地の雰囲気を盛り上げています。

館内熊野古道館(くまのこどうかん)

滝尻王子の向かいにある観光案内と歴史紹介を兼ねた休憩施設。史料展示や古道のさまざまな情報が得られます。


胎内くぐり、乳岩

滝尻王子から急な坂道を20分ほど登ると、ぽっかりと穴が空いた巨岩があります。穴は人ひとりがやっと抜けられるくらいの大きさで、女性がくぐれば安産すると伝えられ「胎内くぐり」と呼ばれています。
この近くには藤原秀衡ゆかりの乳岩伝説で有名な「乳岩」もあります。

不寝王子(ねずおうじ)

滝尻王子から乳岩を過ぎてすぐ、約500m地点にネズ(不寝)王子の石碑があります。
ネズ王子の記録は少なく、元禄年間の「紀南郷導記」にネジ王子と呼ばれる小社についての記述がありますが、その存在は不確かです。

高原熊野神社(たかはらくまのじんじゃ)

飯盛山の頂上近くに鎮座する高原熊野神社。平安時代の熊野九十九王子社には数えられていませんが、熊野本宮大社から御神体が勧請された春日造りの杉皮葺の社殿は、熊野古道沿いの神社では現存最古の神社建築です。県重要文化財にも指定されています。
世界的博物学民俗学者の南方熊楠は、明治時代末期、神社合祀が行われる中、この鎮守の森や神社を守り残したことでも知られます。

大門王子(だいもんおうじ)

山中の要地で、大きな赤い鳥居があったとみられ、大門の名がついたとされます。
社殿は平成元年(1989)の復元ですが、その背後には熊野三百町石のひとつと思われる笠塔婆と、紀州藩が享保8年(1723)に建立した緑泥片岩の王子跡石碑が並んでいます。

十丈王子(じゅうじょうおうじ)

十丈峠の杉林のなかに王子跡があります。江戸時代には付近に数戸の家があり、氏神として祀られていたのですが、明治末期の神社合祀で春日神社に合祀され、廃社となりました。今や十丈は無人の山中になっていますが、少し開けたところなので簡単なベンチやトイレが整備されています。

大坂本王子(おおさかもとおうじ)

十丈王子から上多和茶屋跡を過ぎ谷に下っていくと、杉林のなかに王子跡があります。
王子跡には石造の笠塔婆がみられます。
大坂本王子から約800mで、国道311号線沿いの牛馬童子口バス停があり、道の駅熊野古道中辺路へと到着します。

滝尻王子~高原モデルコース

>牛馬童子像~近露王子へ続く